チェロ大修理記録

現在、僕のチェロは大修理中です。
音にビリつきが出てきてしまったので、
ずっとやろうと思ってた表板の修理をお願いしました。
1725年頃のイギリスの楽器で、
相当表板が歪んでしまっているので全部開けて
板の形を本来のカーブに合わせて矯正します。
ついでに内部の部品、
バスバーという長い棒や魂柱も取り替えます。
割れの部分に当ててあった
木のパッチも全部新しくします。
場所によっては薄い木をあてて補強するようです。

2005年4月27日    topページへ

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開けられた表板の裏側
縞になっているのは補強のパッチが
あてられていた部分。
相当割れがきているため
かなりのパッチがあてられていた。
中心部の長い縞は
バスバーがあった場所。
違う部分に取り付けられていたらしい
痕も確認できる。

よく見ると虫食いの痕が…
表板を開けられたチェロ
指板はついたまま。

裏板の裏側
点々としているのがパッチ
左下の丸いのは麻布で
相当昔の修理法らしい…
Barak Norman
AND Nathaniel Cross

とある。
師弟で同じ工房にいた
記録がある。
ほとんどがNathaniel Crofsの
手によるものだろう。
型紙はBarak Norman
のものと思われる。
Bass Violというのは
ビオラダガンバのこと
楽器の表板の石膏型
表板のゆがみを直すため、
本来の形をまず
この石膏型の上に再現し、
そこに表板を乗せて修正していく

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一番歪みがキツかった所を
矯正中…
それにしてもスゴイ姿だ…
ギューっ

板が薄すぎる箇所には
スライスした木を
当てるらしいです。

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まずは必要な部分に
パッチを入れる。
虫食いの部分にも
細長い木を当てる。
このブロックをこれから
削っていくらしい。

中央のパッチは既に綺麗に
削られています。

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凸凹が一番激しかった辺りに
木を当てる作業です。
まだ接着されはいません…

この分厚い木を
削っていくそうです。
以前虫食い部分に当たってた
細い木が削られてぴったり
埋められているのがわかります。
F字孔下の木も削られて
薄くなっています。
もう少し削ってカーブに合わせて
微調整されるらしいです。
〜9月中旬に見に行ったときには
大して進展していませんでした。
木の状態が自然に変わってきて
部品とピッタリ合うようになるのを待つので
ある程度の時間をおくようです。〜
そして11/21…

だいぶ進展していました!

画面右下の部分の
板の厚さは薄いところで
1ミリに満たないところもあったようです。

上部の虫食い部分に新しい板と
ネックを取り付ける部分にあった古い材料は
はずされていました。

部品は完全に接着され薄く削られています。
もっと削っていきます。
部分によって削る板の厚さを調整して
表板そのものの厚さを均一にするようです。
よく観ると
別の板が重ねられてピッタリと
接着されています。

これが⇒

横板に接着される部分も補修されています。

上部分は虫食いを埋めたのと、
もともとの接着部品の加工が
上手く出来ていなかったようで
別の部品がはめられました。
きれいに削られているのがわかります。

これがこうなりました⇒

部品は替えられています。

久々に見た表側…。

陥没していた部分は見事に
カーブを取り戻しています。

この部分が一番ひどかったところ…。

2005年12月12日

またまた見に行ってみました!

魂柱部分が補正されていたのと、
パッチがあちこちに貼られています。

魂柱部分はまだこれから削られます。

パッチは一つずつしっかり留められています。
中央部分の白いのはパテで、
虫食い部分を埋めているそうです。
下から見たところ…
年内の仕上がりはムリそうですね…

2006年1月19日

更に進んでいました。

ついにバスバーが付いています。
中央右寄りに縦に長く付いた棒のことです。

これがバスバー。
低音弦によるテンションを支え、
表板全体に響きを伝える役目を果たします。
反対から見ると
バスバーの脇に更にパッチを貼る作業中です。
前回まではまだ厚みのあった板もキレイに削られています。
これで窪んでいたところは完全に補強されています。
バスバーは新しい材料の上に
ピッタリと接着されています。
更に増えたパッチ。
これらの長さや縦位置が微妙にずれているのは
同じ木目上に貼ると割れが起こる可能性があるので
それを避けているのだそうです。

2/21

また見に行きました。
そろそろ表板の裏側の修理は完了だそうです。

前回よりもパッチの数が増えたのと
和紙で補強しているのも見えます。

C字の下部分も補強されています。
パテで埋められている部分もあります。

端部分(横板への接着面)をなぞると
木を当てた部分もパテの部分も
滑らかな平らになっていました。

表側です。

よく観ると欠けていた部分などに木を当てています。

右肩のあたり…。

ちょっと見えにくいですが
新しい材料の部分にもパフリングが施されています。

パフリングとは表板の形状を円形になぞるように彫り
別の木を埋め込む技術の事で
装飾としての意味と本体を守る意味があります。
外側からの衝撃で木にひびがいっても
本体は守られるワケです。

中央の線は継ぎ目部分。

2枚の板を継いである部分です。
その左側に点々と白いのは虫食い部分に
裏側のパテがはみ出してきているようです。

穴が開いてた、ということですね…。

もともとの板と裏に当てた木の部分
新たに付け加えられた外周部分が
よくわかります。

ついでに横板も少しだけ修理…。

やはり割れている部分があるようです。

これもパッチを当てていきます。

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いよいよ閉じると言うので見に行ってきました!

横板を数箇所直してもらっていました。

左はエンドピンのはまる穴。楽器のお尻の部分です。

白いパッチが新しいものです。

表板は殆ど変わっていないです。

 

表板を閉じてからニスの修正、指板の調整、駒の調整

という事になっていきます。

そして4月10日

表板は接着されていました。

どっしりとしたチェロらしい面持ちに変わりました!

これからニスの修正をしていきます。

右肩にあたる部分ですが
新しい木を継ぎ足しているため
明らかに色が違います。
これを同じ感じに塗っていきます。

パフリングもよく見えます。

右腰にあたる部分。色の白いところが新しい木です。
指板も新しくなっています。
表板の角度が変わると全く違ってしまうのです。

←見てください!!

本来の駒です。足の角度が全く合いません。
これくらい歪んでいた、という事ですね!

2006年5月8日

ニスの修正の真っ最中です。

白いところはヤスリをかけたところ。

 

4月10日には白かった部分です。

ほとんど区別がつきません。

こちらも新しい木が接がれていた
右腰の部分

肩の部分

手が当たる部分なのでニスが痛んでいました。
ここも塗りなおしていただいています。

紙ヤスリで部分的にニスを落として
塗りなおしていきます。

パテがはみ出していた部分は
以前から何故か木がえぐれていました。

この部分は一度ニスを全部落として
生木を出してからニスを塗っていました。

部分的に薄くニスを塗られた後です…。

このような作業を何度も繰り返していくようです。

2006年5月30日

の様子です。

高いところに置いてあったのでうまく撮れなかったけど…
ツヤツヤしてるのがお解りいただけると思います。
左横の部分
右肩の継ぎ足しの部分

そして、駒近くのえぐれてた所です。

樹脂を埋めているそうです。

2006年6月15日

ニスの塗りはほぼ完了です。

右肩の部分です。

継ぎ足した部分はまったく判りません。

カメラマン(僕)の姿が映るくらいに
塗られたニス…

窪んでいた部分も平らになっています。

これから磨いていくそうです。

 

そして2006年10月にいよいよ退院しました!

 

ちなみに修理前の写真を探しましたが…

 

こんな感じでした!!

こちらから見て駒の右側にあるえぐれているのが埋めた部分です。
古い楽器には時々このような傷があるそうです。
火事か何かの災難に遭ってしまったのかもしれません…

 

退院直後はしばらく落ち着かず、
ビリつきも少しありましたが
弾き込むうちに響きがまとまってきて
ビリつきもなくなりました。

この楽器が戻ってきてからは
練習時間が倍くらいに増えました!!

1年10ヶ月に及ぶ大修理でした!

 

←写真は2006年11月18日の独演会の様子…

 

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